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【インタビュー】売れるマンガには、「策」がある。商業マンガ家兼・マンガ個別相談講師"仙幸"の、プロフェッショナル・マンガ道【後編】。

※こちらのインタビュー記事は、前編(マンガに宿る、描き手の「心」に魅せられて。商業マンガ家兼・マンガ個別相談講師"仙幸"の、プロフェッショナル・マンガ道【前編】。)の続きです。まだそちらをお読みでない方は、先にご覧ください!


商業デビュー前後で、創作スタイルが180度変わった!?

——仙幸先生の創作タイプは何型ですか?

【※用語補足※】
東京ネームタンクでは、創作におけるエネルギー/モチベーションごとに、マンガ家の創作タイプを「萌え型」「排出型」「バランス型」etc. に分類する分析方法を提唱しています。
▶︎萌え型:モノやキャラを尊い!と感じる萌えの感情をエネルギーに
▶︎排出型:自分の内側にある強い想いを外に排出したい!という感情をエネルギーに
 etc.
※タイプは基本的に人それぞれ固有のもので、変わらないことが多いです。
◎創作タイプについて、より詳しくはこちらで解説しています◎

これが変な話で、講師になる前は排出型だったんですけど、今は萌え型になっているんですよね。私の場合、萌え型の方が商売しやすいなと思って。「キャラを売らないと」→「萌えに変えよう」と。私の作品の面白いところってどこなんだろう?と探っていたら、いつの間にか萌え型になっていました。

——変えられるんですね(!)

みんなに驚かれますが、変えられます(笑)。排出型って「キャラクターよりも物語(を重視する)」みたいなイメージがあって。私も「物語を面白くしなきゃ」という感じで、あんまりキャラクターの印象が残らない作風だったんです。「こういうシーンでこういうこと言ってた」は覚えてるけど、「誰が言ってたか」「どういう人が言ってたか」は記憶に残らない、みたいな。でも今はキャラクターを描くぞという気持ちで描いています。

——BLマンガはまさに「キャラ萌え」の最たるものって感じがします。

そうですね。去年か一昨年にBLマンガの賞があって。PIXIVで「ぬののの」って入れると、そのときに大賞を取った作品が見れます。『恋して愛されて』という作品で…本当に何も考えず、AIでタイトル作ったんですよね。キャラクターの名前もAIで決めたんです。萌え型の人からすると、そこにこだわらないのが「信じられない」って言われて(笑)。この時はまだ、排出の要素が残ってるんですよね。

——もともとBLは興味あったんですか?それとも売れそうだからやってみた(=ビジネス理由)ですか?

もともと二次創作BLを描いていたので、抵抗はなかったです。仙幸名義の前に1回、別名義でBLデビューしていたんですよ。ただ、エロシーンが描けず、無理だってなってやめちゃって。エロシーン無しでどう面白くするか分からず、挫折して…

——大賞をとったBL作品は、挫折した当時とは何かが違ったんでしょうか。

「面白いマンガとは何か?」が、分かってきました。自分の「面白い」をちゃんと認識できるようになりました。企画段階で作品の面白い部分や売りポイントを自覚し、編集者に伝わるようにしなきゃいけないと分かったんです。なんとなくで描いても、読者や編集者には何が面白いか伝わらないんだと気づきました。

それぞれのタイプの創作モチベーション(イメージ)



キャラデザは商業の要(かなめ)!たかが見た目、されど見た目

——関西コミティアで発表された作品『可愛くな〜れ!』では、一目でキャラの性格がわかりやすいですね。

そうですね。見た目は大切だと思っています。商業BLの読者はイケメンが見たいし、おじさんであっても、いい匂いがしそうなおじさんの方がいいです(笑)。商業BLは見た目で多少なりとも売り上げに影響が出ます。話が面白くても人気が出ない作品は、そういう影響が出ているのかも…。絵柄だけではなく、キャラデザも気にかけたほうがいいです。

——絵柄とキャラデザは違うんですね。

私は違うと思っています。たとえば、令和の舞台設定なのにキャラデザが昭和風だったりすると、違和感が生まれやすいです。意図したものならそれもいい味になるかもしれませんが、無自覚の場合は、要注意です!「絵柄が古い」と悩む方は多いですが、流行の髪型やファッション(=キャラデザ)を取り入れることで、違和感が解消されることもあります。

——これはすごい、ためになる話ですね。

(作品を)売りたいのであれば、流行りに敏感になりましょう、と思っています。



移りゆく時代の中で、マンガを描き続ける

——キャラクターで、売れるかどうかが決まってくる面はありそうですね。

最近の商業マンガの流れとして、一般ジャンルもBLジャンルも「物語よりキャラクターを面白く」と言われます。読者は「物語」にはお金を出さないけど、「キャラクター」にはお金を出すんです。「この作家さんの新作だから読む」という動機が減ってきて、「作家よりもキャラクターを応援する」というのは、編集者ともよく話しています。「キャラ推し」の場合、連載が終わるとまた1からのスタートなので、「キャラを好きになってもらう作業が必要だよね」「大変だなー」って言いながら…(笑)

——いまこれだけ「推し」と言われているのも、ある種、売れやすいからなんですかね。

そうです。私の知り合いの作家たちでも、読者から推されるキャラを意識して作る人もいます。読者の年齢層や性別を絞って当てにいき、実際に狙った通りのファンを作るので、すごいです。読者から愛される推しが多いほど、作品の規模も大きくなり、多くの人に愛されますね。

——(いま話題の)フリーレンとかも、キャラ推しなんですかね?

キャラだと思いますね。関係性に萌えるじゃないですか。フリーレンとあの勇者じゃないと成り立たない関係がある。これはもう、オタクだからわかる(笑)。

——「ものすごく長生きしてしまう」とか、ニッチで哲学的なテーマが来たなぁと思ったんですけども。

私は、「こういうテーマ性の、そろそろ来るな」って思っていました(笑)。

——占い師じゃないですか(笑)。

なろう系によくある、テンション高めの、特別な主人公が成功していく話・幸せになっていく話がはびこっていて、そろそろみんな疲れているだろうな…と思っていたら、フリーレンが来たので。落ち着いた日常生活って感じがありますよね。関係性萌えもあるし。みんなエルフ好きよね、って思いながら見ていた感じですね。

——「エルフ」は、みんな好きなんですね。

長生きする切なさがあるんですよね。周りがどんどん死んでいくところに萌えちゃうんです。その切なさを勝手に妄想して、感情がめちゃくちゃになって、感極まって、泣く。オタクの私はそうやって楽しんでいます。

——日本の読者(オタク)、育ってますね(笑)。

オタク、めっちゃ育ってますね(笑)。うまく(心を)掴めたら、ずっとファンでいてくれるし、お金も出してくれます。

——お金になる・売れるっていう視点がしっかりあるのが、仙幸先生の強みだと思いました。

ありがとうございます。キャラはちゃんとお金にしなきゃ!というのはありますね。以前どこかで読んだ言葉で「商業漫画は面白いが当たり前」というのがありました。「面白い」は、当たり前。その上で「売れるもの」にしなきゃいけない。「面白い」を目指しても、まだスタートラインに立っただけ。悲しいけどそうなんだよな…と思ったのが印象的でした。プロを目指したい人、プロで頑張ろうとしている人たちは、そもそもハイレベルなことをしようとしているんだと思います。

——最後に、読者へのメッセージがあればお願いします!

色々言いましたが、楽しく描けるかを一番大切にしてほしいです。楽しくない仕事をした経験から感じます。仙幸名義でやる前のBLなんて、楽しくなかった部分が多かったので…嘘ついて自分の作品を描いていたら、簡単に病んだので。「楽しい」は、やっぱり正義です。

——「嘘はつかずに面白くする」という技術が必要なんですね。

「楽しい」を見つけるのもまた、才能なんですよね。「自分はこれ嫌だな」と思っていても、その中にある自分の好きなものや楽しいものもあったりするので、そこを自分なりに楽しむ方法を考えられると得です。苦手だと思っていたことが、いつの間にか得意ジャンルになったら、幅が広がって得だと思うので。結局は「楽しんだ方がいい」という結論ですね。



◎仙幸先生へのインタビューは、以上です!◎

いかがだったでしょうか?ここまで見てくださり、ありがとうございました!
商業作家として揉まれてきたからこその、ハッとするような気づきを教えてくれた仙幸先生。マンガ家ならではの業界理解と、相談者にまっすぐ向き合う誠実さを持ち合わせたプロフェッショナルな先生へのご相談、心よりお待ちしております!

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