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【インタビュー】創作も講師も「120%の力でやる」。編集部バイト→マンガ家デビューを果たした"おたべさくら"の、ガチンコ!マンガ道【後編】。

※こちらのインタビュー記事は、前編(【インタビュー】創作はすべて「肯定するところから始まる」。元・美術教師志望→現・マンガ個別相談講師"おたべさくら"の、ガチンコ!マンガ道【前編】。の続きです。まだそちらをお読みでない方は、先にご覧ください!


得意なジャンル、触れてきたマンガ

ー得意ジャンルはありますか?

webtoonもいけますし、得意なのはマニアックなジャンルのマンガだと思います。個人的には二次創作が好きで、自分でも描いていたのが長かったので好きです。

ー二次創作が好きとなると、ご自身の「創作タイプ(※)」は萌え型ですか?

いや、実は私、混合型なんですよ。あ、バランス型か。萌えと排出両方使える人です。

ー無敵じゃないですか!

ですかね、ありがとうございます。

※ 「創作タイプ」「萌え型」について、詳しくはこちらをご覧ください!

ー逆に、これはちょっと苦手…ってジャンルはありますか?

苦手なのは…4コマと少女漫画はちょっと苦手かもしれないです。4コマは自分で描いたことがそんなにないので。少女漫画は実は昔すごく読んでたんですけど、そのあと少年漫画にハマりすぎて、少女漫画の文法と描き方を忘れてしまったんですよね。小学校の頃は、なかよし、りぼん、ちゃおを結構読んでました。

ー少年漫画は、どういう系にハマっていったんですか?

歳がバレるのであれなんですけど、最遊記ってご存知でしょうか?最も遊ぶっていう方の。死ぬほど魂を持っていかれましたね。あと、高校生の頃はテニスの王子様とか。基本、BL・二次創作が盛んな漫画がすごい好きでした。

ーテニスの王子様は、2.5次元舞台とか、めちゃめちゃ推してる子がいるイメージでした。

そうそう。そういう、女の子のファンが熱狂するようなものにハマってたなと思います。

おたべ先生の作品
『148cmHカップ巨乳セラピストと密着H』
(2019年8月/コミックマーケット96)


作家として・読者としての目線で見れるから、講師の仕事は楽しい

ーおたべさん的に、個別相談をやってて一番嬉しい・やりがいある時ってどういう時ですか?

生徒さんがもやもやするとか、悩みの本質が見えていないことに対して答えが見つけられて、気づきに繋がる時が一番嬉しいかもしれないですね。

ーそれは相手が喜ぶから嬉しいって感じなんですかね?

それもありますし、自分の中でも発見になるっていうか。マンガにおいてこういう要素が大事なんだなとか。私もよくこういうことやってるな…とか、自分に対しての気づきや発見にもなって、それがすごく面白いなと思います。

ー講師の皆さんはもともと漫画を描く側でもあるから、創作の学びにもなるでしょうね。

そうですね。毎回新しい発見があるのが面白いなって。あ、あとは、自分が持ってない才能の輝きみたいなのに触れられる。個別相談は本当にいろんな作風の方がいて、私が持ってない輝きを持ってる人がいっぱいいるんですよ。自分で気づいてないだけで、みんなすごい才能とか魅力を持ってるんですよね。それに触れるのが楽しいし、いいなって思ってます。

ー純粋に読者としての感動というか、作品自体を楽しんでいるっていう感じですかね。

そうですそうです。純粋に、楽しんでるんだと思います。自分から絶対出てこないだろう、これ。みたいなのが作者さんから出てくる。純度がかなり濃い才能が出てくるっていうか。商業ナイズするのにちょっと手はかかるけど、一番濃い出汁を味わえる、というか(笑)。

ーたとえば受講者の加納さん(こちらの記事でご紹介しています)の作品などは、こちらの編集部でも話題になっていて。粗い部分はあるけど、描きたかったところや独自の着眼点が詰まっていると感じました。

あの方の作品、めっちゃ好きです。やみつき感のある作風ですね。世界観とか感性とか独特の魅力があって、私はすごい好きです。作家自身が「いい」って思われようとして描いてないっていうか、ひたすら自分の内側にあるもの、好きなものをちゃんと純粋に出そうとしている、表現しようとしているというところが、私は一番いいと思います。もともと創作の原動力ってそこだよね、と思います。ただ、それが商業になっていこうとした時には、うまく折り合いをつけていかなくてはいけないので、それがすごく難しい作業なんですけど。


表現と商業の折り合いの中で、バランスをとる

ー私自身の話をすると、私も美術系学科出身で、作家になりたいと思っていたんですが、商業で求められているものと自分のやりたいことにギャップがあって、断念したんですよね。個別相談に来る方も同じような葛藤があるかと思いますが、どうやって変えるところ・変えないところを見定めて、アドバイスしていますか?

これはすごい難しくて…実は私も一度、漫画家になりたかったけどうまくいかず、筆を折ったことがありました。その時に私、編集部でバイトしたんですよ。1年弱ぐらいでしたけど。そのことが勉強になったと思ってて。編集部でいっぱい作品を見て、商業で求められているものとか、自分の好きなものは何なのかを客観的に俯瞰できました。大事なのは読者の欲望を満たすことだと思っていて、どういう欲に対してとか、どんなものを読みたいかとか、そこと自分の好きなものと一番折り合いが取れるところを探していく。そういう調整作業をしていったら、マンガ家としてデビューできた、っていう経緯がありまして。

ー求められるものと好きなものの、「共通項」を見つけていくんですね。

個別相談も、ほぼ同じ調整作業なんですよ。講師の仕事って、作者がやりたいことと、商業で求められていることとのバランスをとることだと思っていて。作者が何を描きたいかを把握した上で、商業が求めているものは何だろう?とか、読者にとって受け取りやすい作品にするためにはどうしたらいいんだろう?ということを考えていって、その中で一番バランスのいいところをとっていく。

ーその方法で、おたべ先生自身、漫画家になれたんですもんね。

そうですね。ポイントさえ押さえていれば、多少絵が上手くなくても、ストーリーが得意じゃなくても、割とプロになれます。

ーそれは、最初から読者の欲望ありきで企画していくのか、あくまで自分のやりたいことベースで最初考えていって、後から読者目線を入れるのか、どういうふうにバランスをとっていくんですか。

これはすごい難しいですが、まずは自分ありきだと思っていて。自分が何が好きで何が苦手なんだろうとか、自分のことがある程度わかった上で、求められているものに対して答えられそうなものを見つけていく、っていうのが一番いいのかな、と思います。

ー自分のことを知っているのが大事なんですね。

めっちゃ大事です。私は、自分のことも知らず読者に合わせようとしていたら、描けなくなりました(笑)。それで一回、筆を折ったので。編集のバイトをして、自分の好きなものが何なのか?っていうのをいち読者として見たことで分かりました。余裕がないと精神的にしんどくなるので、「自分は何が好きなんやろ」って俯瞰してみる。で、「読者に求められるものって何やろ」って冷静に把握すると、一番いいような気がします。私は一回創作から離れて編集のバイトをしたことが、めちゃめちゃいい機会だったと思ってます。

ー(アルバイトの)1年で、それを掴んだってすごくないですか。私は編集者を始めてもう2年ぐらい経ちそうですけど、まだまだ分からないことが出てきます。

私が入ったのって、成人向け漫画の会社だったんですよ。扱う作品の範囲としては狭かったから、わかりやすかったのかもと思いましたね。多分、人生で無駄なことってないと思ってて、まわり道のようなことも、絶対後から役に立つと思いましたし。教員免許を取った話もそうですけど…だから、今の経験も将来的に役に立つと思います。

ー私の個別相談みたいになりましたね(笑)。すごく励ましてくれる。

私、人を励ましたい、応援したいっていう人なんですよね。本質的に人を応援したいんです。

おたべ先生の作品
『わたし、絶対に露出なんてしません。』
(2018年4月/COMIC☆1)


120%のエネルギーで受講者の悩みに向き合う

ー受講者ってみなさん、本当に描きたい作品とか、"ガチ"の悩みを持ってきますよね。限られた時間で、お金を払ってでも解決したいくらいの悩みを。

そうそうそう、エネルギーめっちゃ使うんですよね。自分としては、人を応援したいとか、人の心にちょっと明かりが灯せたらって思っているからやれている仕事です。

ー「応援する」ことに情熱のある講師しか、続けられないだろうな…と。

毎回、ほぼ120%の力を出してると思います。全力で向き合ってると思いますね。そこが一番大事にしたいところかもしれないです。

ーかっこいい…今のセリフ、記事に使います(笑)。

お願いします(笑)。やっぱり絶対の正解はないですし、自分の言ってることも絶対正しくはないと思ってて。ただ、その作品とその人に全力で30分、60分を向き合うことが一番大事かなと思いますね。

ーこれまでに印象的だった相談ってありますか?

言うべきことを勇気を出して伝えた時、良かったですとか、納得してもらえた時は嬉しいですね。伝え方は気をつけないといけないですが、言うべきことであればきちんと伝えるのは正義だなと。相手は良くしたいと思ってきているわけですから。厳しめなことを言うのは苦手なんですけど、個別相談以外の普段の生活でもこれは心がけたいと思っています。

ーおたべさんからは、終始「ガチンコ!」っていうメッセージを受け取りました(笑)。

やったー!ありがとうございます。ガチンコです(笑)。真剣に向き合ってるので、本当にそう思います。
あ、あと…もう1つ、アダルト作品得意だと思うので、そこも記事に書いていただければと思います。アダルトはすごい長くやってますし、自分もめちゃめちゃ好きなんで。

ー今も現在進行形でやっている?

やってます。

ーいいですね。バイトされていた編集部も成人向けでしたもんね。つまり…「エロにガチンコ」

エロにガチンコ(笑)! はっ… (何か思いついたような顔)
…ごめんなさい。女性に対してこんなこと…最悪だ…

ー(笑)。すみません、私もついつい。



◎おたべさくら先生へのインタビューは、以上です!◎

いかがだったでしょうか?ここまで見てくださり、ありがとうございました!
終始、まっすぐに笑顔でインタビューに答えてくださった、おたべ先生。マンガが大好きというピュアな気持ちと、人に寄り添う熱い心を持ち合わせた、とても頼れるエロマンガ先生(!?)へのご相談、心よりお待ちしております!

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