【インタビュー】創作はすべて「肯定するところから始まる」。元・美術教師志望→現・マンガ個別相談講師"おたべさくら"の、ガチンコ!マンガ道【前編】。
マンガ家/マンガ家志望者が、マンツーマンでプロに創作の相談をできるサービス「マンガ個別相談」。その講師をつとめるメンバーは、彼ら自身もまた描き手としての経歴を持ち、得意とするジャンルやキャリアも多様です。
本記事では、普段あまりクローズアップすることのない講師の素顔をご紹介していくことで、「どの講師に相談に乗ってもらおう?」と悩んでいる方や、「個別相談に興味があるけど、いきなり知らない相手と話すのは緊張するな…」という方のご参考になればと思っています!
今回ご紹介する講師は、成人マンガやwebtoonなど作家としても幅広く活躍中の、「おたべさくら」先生です。
もともとは美術の先生になりたかった
ーマンガ個別相談の講師は、どのくらいされているんですか?
今年(2024年)で6年目くらいじゃないですかね。ただ私ちょっと途中で体調を崩してしまって、1年ぐらい多分お休みしていたと思います。なので実質、5年ぐらいだと思います。
ーなるほど。講師は、どういう経緯で始めたんですか?
ごとう先生(ネームタンク代表)に声かけられて、ですね。初めは普通に生徒としてネームタンクに行ってたんですよ。ネームに困って何回か行くうちに、ごとう先生に声をかけられて。「講師やってみない?」っていうふうに言われたんですけど、その時忙しかったし、体調も崩してたんであまりやる気はなく、とりあえず話だけでもっていうふうに思って。実は私、もともと美術の先生になりたくて、大学で油絵を勉強していたんですよ。
ーええ! そうなんですね。美大ですか?
はい、そうです。大学進学で上京して、油絵をやってたんです。学校の先生になりたくて、資格も取ってたんです。中高の教員資格で、教育実習も行ったんですけど、行った先で自分自身がやりたいことが学校ではできないってことに気がついてしまって。私は個人的には、一人一人丁寧に向き合いたいというか、教えたいと思ったんですけど、それが学校ではできないんですよね。教員1人、対、30人とかだから…。あと性格的にもちょっと向いてないなというふうに思いまして。でもネームタンクであれば一人一人丁寧に向き合うことができるなっていうのがわかって、やってみようっていうふうに思いましたね。私が目指す教育の姿みたいなものが、ネームタンクにはあると思ったので。
ーそれはアツいですね。そういうパターンの入り方もあるんだ。
そうです。本当は先生になりたかったけど、学校のシステムとかは全く肌に合わず、ダメだったので…。教育実習に行ってみて、わかったんです。
描き手を肯定し、寄り添う。講師のスタンスに共感できた
ー元々、生徒側としても、講師に個別相談してもらった経験があったんでしょうか?
そうそう、そうです。生徒として個別相談に行って、めちゃめちゃ良かったんです。今まで行った学校の中で一番良いと思いました。本当に良かった。
ーそれは、どういったところが?
ネームタンクのスタンスやあり方がとても良いと思いました。それを体現しているのがごとう先生だと思うんですが。普通に生きていると結構否定されることがあるんですけど、ごとう先生はその人をまずちゃんと受け入れる、肯定した上で、「じゃあどう伸ばそうか」っていう、その肯定するスタンスが、私はすごく良いと思って。感動しました。
ーすごい…熱いですね!
熱いです(笑)。でも本当感動したんです。私、生い立ち的にちょっと周りが厳しかったように思ってて。親とかも含めてなんですけど…。だから自分を否定する癖があって、自分に自信がなかったんです。学校とかもそうでしたし…やっぱり美大の受験とか、めっちゃ厳しいんですよ。結構ボロカスに言われるみたいな。
ーそういう厳しい環境で育ってきた中で、ごとう先生の優しさに触れて感動した…という感じでしょうか。
そうですね。人ってそれぞれいろんな要素を持ってるけど、結局、全て肯定するところから始まると私は思ってて。肯定してもらうことで自信につながるというのがあるし、それが私の理想とする姿…じゃないけど、そんな感じですね。
自分のことは自分が一番わからない。恩師に教わった気づき
ーおたべ先生の、講師としてのこだわりってありますか?
私は2つあって、1つは、自分が生徒に対して全面的に肯定する、応援する立場でありたいと思っていて。否定的な眼差しで見ないっていうか、基本は「肯定して、応援する人」として相談者に接することを気をつけています。あともう一つは、その生徒さんの強みを発見してそれを伝えるっていうことをしています。
ー強みを見つけるのって、難しいですよね。
私の人生の師匠みたいな人に教えていただいたことなんですけど、「自分のことが実は一番自分ではわかってない」っていうのがあって。自分があたりまえにやってることって、自分では気づかないんですよ。でも、講師から見たら、生徒さんの光ってるところとか、わかるじゃないですか。それを「こうですよ」みたいな感じで、その人の良さを改めてお伝えするようにしてます。新たな発見があったらいいなと思って。
ーパッと見た作品って、良いところより、まず、粗(あら)の方が気になる場合もあると思うんですが、強みを見つけるのは得意ですか?
どうだろう。最初から意識してたわけじゃないですけど…もともと人の良さには気づきやすい方だとは思います。私も、否定的な面を見つけてしまうところはありますが、直してほしいところが見つかるってことは、その人のことをよく見ているということでもあると思っていて。直してほしいところが目につくのは、その人のことをよく見ているからだと思いますし、その人の可能性を信じられるからだと思います。
ーなるほど…素敵な考え方ですね。
いや、これも人生の師匠に教えていただいたことなので。
ー師匠…強いですね。
師匠、マジ強いです。
得意な相談、苦手な相談
ー相談者さんは、褒めてほしい方もいれば、褒めは時間の無駄・アドバイスが欲しい、という方もいると思うのですが…。おたべ先生はどんなスタイルが得意ですか?
私は、褒めてほしい!という方の相談が得意だと思います。直してほしいところだけ言ってほしい場合は、ちゃんとそれもお答えしますけど、いいところも知ってほしいし、伸びしろも知ってほしいっていうのがあるので。褒めてほしい人や、ちょっと自信ない人とかの方が得意かもしれないですね。その気持ちが自分でわかるので。私も、「褒めてほしい人」なんです。
ー褒めてもらえる場所って、本当、ないですよね。
世の中も、Twitterとか、辛辣な意見とかいっぱい見るじゃないですか。見ていると、心のHPが減っていく感じがするんですよね。だから、自分に対しても相手に対しても、肯定的な目で見るとか、本当に大事だなと思ってます。こんな世の中だからこそ。
ー個別相談は、良心ですよね(笑)。世の中の良心。
そうなんですよ。本当に良心だから、私はいい場所だなと思いますし…「新しい世の中のあり方」って言ったら、ちょっと大げさかもしれないんですけど。それぐらい素晴らしいところだな、と私は思います。こんな世の中になればいいのに、世の中が…!みたいな。
◎後編に続きます!◎
ここまで見てくださり、ありがとうございました!
前編はここで終わりです。後編(【インタビュー】創作も講師も「120%の力でやる」。編集部バイト→マンガ家デビューを果たした"おたべさくら"の、ガチンコ!マンガ道【後編】。)では、おたべ先生の得意なジャンルや、これまでの相談で印象的だったエピソード、さらにインタビュアー・earlyのお悩み相談まで!?たっぷりとお届けいたします。
後編はこちらから→
◎マンガ個別相談は、毎日15時〜21時で受付中!◎
おたべ先生も在籍する「マンガ個別相談」では、マンガに関するご相談を常に受け付けています!
1回30分から、講師とマンツーマンで課題や強みの発見ができます。ぜひ、ご活用くださいね!