漫画の描き方|描きたいものと描けるものが違う問題 #020
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漫画の描き方|描きたいものと描けるものが違う問題 #020

今日は根深い問題をお話しします。漫画描きなら誰しも一度は直面するのではないでしょうか。自分の描きたいものと描けるものが違う問題です。

今回のご相談も「描きたいものと描けるものが一致していた方が良い作品になるか」といただきました。たしかにこれが描きたい、と思うものが良い作品になって評価されるのが一番ですよね。

しかしあんまり乗り気でなかった作品の方が編集部に通ってしまう。まず今回はそもそもなぜ描きたいものと描けるものがズレてしまうのか、その原因から探っていきたいと思います。

よくある3つの描きたいもののズレ

▼創作タイプの違いによるもの
まず一つ目が、漫画家さんにはまず大きく2つの創作エネルギー(描きたいと思う気持ち)があって、それが編集者に求められるものと異なっているケース。

▼ジャンルの違いによるもの
少年誌志望なのに青年誌っぽくなってしまうなど。またバトル漫画を描きたいのに、ラブコメが得意…というのもジャンルが合ってないという状況。

▼作品の雰囲気によるもの
同じバトル漫画でも、シリアスなものが描きたいのについライトにしてしまう…など作品のテンションや雰囲気に描きたいものの違いがある状況。またリアリティレベルでほんとはリアル目にしたいのに漫画っぽくなってしまう、など。

一つずつ解説していきますね。他にも描きたいものが描けないパターンはあるかもしれません。ご相談くださいね。

創作タイプの違いのよるもの

漫画を描きたいという気持ちは大きく2種類に分かれます。「萌え型」と「排出型」と呼んでいるのですが、まず「排出型」は漫画家自身の心になにかどうしようもない渇望があって、その苦しみから救われたい思いで漫画を描くタイプ。

「萌え型」はキャラクターや生じた状況に対して「萌える…」「尊い…」「グッとくる…」とこんなのあったら最高だな、という気持ちで描いていきます。「排出型」が自分を見つめているのに対し「萌え型」は他者を見つめる視点です。

作品にはこの2種の傾向が現れます。ここで編集さんが一つの作り方しかしらず、ストーリーは「成長」「カタルシス」があるものだ…と思い込んでいると、そういう作品しか評価されません。これは「排出型」の傾向です。

ここで「萌え型」の漫画家さんなのに「排出型」傾向の作品しか評価されない…なんてことが起きてしまいます。

またこれは漫画家本人の中に問題があることもあって、楽しく「萌え型」で描こうとしているのに、自分の心の中の問題が強すぎて、漫画を描いているとそれがむくむくと現れていき、最終的にとても「排出型」作品になってしまう、ということもよくあります。

対策として、編集者さんに通らない…という場合は、僕はこれは編集者さんを変えた方が話が早いと思います。もしくは編集者さんに東京ネームタンクの講座を受けるようにお伝えしてください…!

自分の作品がどうしても排出傾向になってしまうという場合は、僕はまず一本存分に排出する作品を描いてしまうことをおすすめしています。エンターテイメントにはなりにくいかもしれませんが(なることもあります)そうすることでバランスが取れ、次の作品に進める人が多いです。

ジャンルの違いによるもの

こちらは自分が届けたいターゲット層に比べて「幼い」もしくは「大人すぎる」と言われてしまうパターンです。掲載場所と自分の描きたいもののご相談は別記事に詳しく書いていますのでそちらを読んでみてほしいです。

▼自分の漫画の作風と志望雑誌が合わない
https://note.com/nametank/n/n1c3dc6200dbb

それ以外にも「バトルが描きたいのにラブコメが得意」という状況もよくありますね。これはどうなると起こるのでしょうか。ここにはさらに二つのパターンが考えられるように思います。

一つはラブコメ作品に多く触れたか、人生の中で恋愛に強く作用されたかによって、ラブコメの見せ方、演出のストックがバトル漫画よりも豊富に蓄積されている場合。

この場合はそもそも読者へ伝えることはできているはずですので、バトル漫画の大ゴマなどを集めて覚えるなど、自分の演出ストックを増やしていくことで解決していけるかもしれません。

もう一つは、逆にバトルが好きすぎて、夢中になるあまり客観性がなくなり暴走してしまうパターン。客観視を得るのは本当に難しいことですね。漫画家として熟練とは客観視の獲得をしていくことに他ならないと思います。

客観視については長くなってしまいますのでまた別の記事でお答えしますね。

すぐにお答えできることとしては…時間を置いて自分の作品をチェックする、そのためにスケジュール管理をできるようにする。もしくは「まんが奨励会」を検討してほしいです。毎月の「スクリプト基礎コース」では物語の要素を数値化して捉えることで「客観視」を鍛えています。

作品の雰囲気によるもの

明るく楽しいライトな雰囲気にしたいのにシリアスさを求められる、またはその逆ということもよくあります。これはシリアス(またはライトな)表現が得意だからそれを求められるのか、掲載場所の事情によってそれを求められるのか、で対策も変わりそうです。

ライトな雰囲気にしたいのに魅力的なライトさが描けない、ということであればこれは学んでしまえば解決できる問題ですね。漫画は同じできごとや状況でも「リアクション」「感情表現」でライトにもシリアスにもできます。

ライトさが描けない場合は、他の作品でライトな感情表現をしているコマを集めて自分の中の引き出しを増やすこと。そうすることで自然にライトな表現が取れるようになっていくと思います。

掲載場所の都合で求められる作品の雰囲気が決まっている場合は、ちらっと混ぜていくのがいいんじゃないかと、これは「少女まんが勉強会」を一緒にやっている有名編集者のしーげるさんがお話しされていました。

ライトな作品の中にあるシリアスシーンって、ギャップを利用できるので強く心を掴まれるんですよね。そうやってシリアスもうまく忍ばせていくことで、シリアスも描けるんだという認知をしてもらい、少しずつ求められるものも変えていけたらいいですね。

描きたいものと描けるものが一致していた方が良い作品になるか

僕は描きたいものが描けている作品が良い作品だと思っていますので、これの答えとしてはYESなんですが…そうなるための手段はたくさんあることをご紹介したいです。「描きたいを描ける」状況に少しずつでもしていきたいですね。

▼少女まんが勉強会
次回 4/24 19時からです。月一回のオンライン勉強会、お待ちしてますね!
https://girls-manga-meeting-09.peatix.com
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https://note.com/nametank/m/mc263630666f1
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