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漫画家になるには|コマの役割を知り、初稿⇒2稿目を乗り越える #005

コマ割りのコマにどんな役割があるか。考えたことがありますか?

コマの意味が分かるだけで、初稿からのブラッシュアップがとても効果的になります。また慣れて来ると最初から直しのないようにコマを割れるようになると思います。

今回は、コマの意味と、それを知ってどう使いこなすのかという話です。

解説にあたって「受賞できる講座」に参加してくれた彩瀬ありすさんの作品を扱います。先生と生徒の百合もの。『映画館にいる間だけ恋人になれる』という素敵な2人の関係を描いた作品です。

こちらの企画作りの部分については彩瀬さん本人が記事にしてくれていますのでそちらもぜひご覧ください。

ネームタンクさんの受賞できる講座に行ってきました(FANBOX)

マンガのコマには、大きく分けて2種類の意味がある

これまでマンガの「コマの役割」について、あまり語られてきたことがなかったと思います。視線誘導や絵作りの部分での読みやすさ、ということが重視され、肝心の内容について深められていなかったのではないでしょうか。

コマには「できごと」が描かれるコマと「感情」が描かれるコマがあります。しかしこの解説は記事にすると膨大になってしまいますので、しっかりと理解したい方は「ネームできる講座」をオススメします。

そういうものだとして解説を進めますね。
それではまずは彩瀬さんのネームを読み進めてみてください。

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まずは冒頭の5Pです。雰囲気ある始まり方でしたね。

「できごと」と「感情」の関係をみると、次の3P目を見てください。

彩瀬ありす P1

赤枠の2コマ、はじめは「木瀬夏香」という生徒の名前がなかったと記憶してます。(たしか名前が決まってなかった?)

しかしこの生徒だからこそ、次のコマで「ちょっと困った」という感情が出て来ているはずなので、生徒の名前をしっかり入れてもらいました。

こんな感じで漫画は「できこと」⇒「感情」の順で進みます。

応用編:次ページの問題が解けるか?

さらにこの次のページです。

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続く4P目、このページで作者が見せたかったのは、明らかに最後のコマの先生の表情(感情)だと思います。このページ、みなさんだったらどのようにブラッシュアップするでしょうか。

解答:見せたい「感情」から「できごと」を逆算する。

ここで読者(と作者)が楽しむのは、先生の感情です。
先生の感情に着目してみると、4Pのこのコマ割りでは「興味ない同僚の教師に飲みに誘われたのを断っているときの感情」というふうに見えてしまいます。

しかし本来は「生徒の木瀬さんを待たせていて、木瀬さんが気になっている」先生の隠した想いが描いて楽しい感情のはず。

そうならば、先生の表情アップの前に、そこでの感情を引き起こした「できごと」を入れてあげるのが効果的です。

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こうやって「木瀬さんからのメッセージ」が入っていた方が、その次の感情がぐっときますよね。

※木瀬さんからのメッセージ内容の「待ち合わせ場所に早めに着いちゃったときにどういう言葉を選ぶか」も相談してあれこれ考えました。彼女の良い子感出てますよね。

見せたい感情に気づく力

見せたい感情に気づく力が必要だと思います。

「受賞できる講座」では4Pごとに進めては、ごとうと隣の席の人でチェックしてブラッシュアップを考えて、より良くしてから次の4Pに進む、という方式を取りました。

4Pまでの段階で、まず「今日は用事があるので」ということから木瀬さんとの用事があることを汲み取り、そしてそこに対して先生の気持ちが動いている。ということに着目できれば、今回の答えも出るはずです。

僕はこの見せたい感情に気づく能力を、作者自身にも、編集者の人も、つまり全員に持ってもらいたい、と思ってます。これは訓練で身に付けられるものです。

「まんが奨励会」では今回の「受賞できる講座」で行った4Pずつのブラッシュアップ講座を開催予定です。またまずは「ネームできる講座」でコマ割りとストーリーの基礎を学んで欲しいです。

伝わって欲しいのは、こうやって意図を汲み取ってのブラッシュアップは、作者本人に良くなった実感が伴います。「自分の漫画が楽しい!」という感覚をみんなに味わって欲しいと思っています。

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