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漫画の描き方|自分で読み返して正しく直すには #021

今日もとてもよく分かる…というご相談です。
とにかく自分の作品を見返すのが辛い…という気持ち。しかし客観的に見て修正したり、自己成長したり、いやそもそも漫画を楽しむためには、自分の作品を見返せたほうが絶対にいいはずです。

今日は自分の作品を見返せるようになるために何が必要なのか、その乗り越え方を考えていきたいと思います。

そこにあるのは「恐怖」か「不安」か

提出して手元を離れた自作品を直視できません。なので、ゲラなどチェックが冷静に出来ず困ってます。お酒など飲んで勇気を振り絞って毎回挑んでいます。作画中は何度も見直しても大丈夫です。

お酒を飲んで勇気を振り絞って…
気持ち分かる…と思いました。

シンプルに考えて漫画でなくて絵だとしても、描いてる時はノリノリで楽しいんですよね。しかし描き終わってしばらく経って見返してみると、形がとても歪んでいたり狂っていたりする。

そうするとなんだか自分が信じられない気がしてきますよね。そしてその絵を人に渡していかなくてはならない。自分で歪んている…と思っている絵を渡さなくてはならないのはとても辛いことです。

これが漫画になるとより一層その傾向が強くなると思います。漫画はちょっとでも狂ってしまうと、何が何だか全く伝わらず読者が物語に入り込めません。もしかしたらそういう状況になってしまっているのではないか。

とくにゲラチェックの段階では、基本的には修正できない状況が多いと思います。ゲラとは雑誌に載る前にチェック用に刷り出したもので、大抵の場合は何かミスがあってもそのまま雑誌に載ってしまうと思います。(ミスは単行本収録時に修正することが多いです。)

こういう状況では「恐怖」も「不安」も全部入りなのはしかたありませんね。

修正可能な段階でひたすら見返しておく

修正ができない状況で見返すのはとても辛いことです。だとすると修正可能な段階でひたすら見返しておくのが一つ解決策ではないでしょうか。

「あれだけ見返したんだから大丈夫」というのは一つの安心材料になると思いますし、あれだけ見返してそれでも直しきれなかったなら、これが今の自分の実力。思い残すことはない…。と何か死刑囚の悟りのようなものを得られるかもしれません。

僕もネームができたとき、これは初稿でも2稿目以降でも、編集者に送る時は必ず自分で読み返すことにしていました。少しでも客観視を得るために、ネームをコンビニに持っていって濃さを濃くして縮小し、単行本サイズくらいにした状態で読み返していました。

こうすると鉛筆で描いたものがややインク感が出てきて、かつ小さなサイズになることで自分で描いたものという感覚が薄れます。そうして伝わりづらいところをチェックしていました。

ほんの少し「間」を入れるだけでだいぶ読みやすくなったり、意味が通ったりするんですよね。ですのでこのチェックだけは外せないと感じていました。

しかし当然ここでも不安との戦いなので、決して気持ちいいものではありませんでした。これは連載をしていた当時の僕には自信がなくて、読み返してもネームを修正しきれないのではないか…という思いが強かったからだと思います。

連載に慣れていく中で、読み返して読みづらいところをなんとかすれば、読んでもらえるものにできるんだ…という、案外なんとかできるぞ、というわずかな自信が出てきたところから、ちょっとずつ気持ちが楽になっていきました。

下描き、ペン入れの時間も冷却期間

いざネームが通って、下描きや原稿の作業は時間がかかる上に、頭の使う部分がネームとはまた違う感覚があると思います。ここでネームについても俯瞰して何度もチェックできるタイミングがあります。

下描きや原稿はただそこにある一コマに集中して、いい絵にしようと入り込みがちですが、ラフ、下描き、ペン入れ、ベタ入れ、トーン、仕上げ、と何度もチェックポイントがあると思います。ここでネームについてもしっかり見直す。

そうすれば「大丈夫読める読める」という自信を自分の中に貯めていけると思います。

ただ本当はネームも原稿も「楽しい楽しい」と夢中になって描きたいものでもあるので、やみくもに客観視を勧めるのは、それでいいのかという思いもあります。プロの職人としての冷静な視点と、ここはバランスとっていきたいですね。

根本の原因は「自分の作品を好きになれていない」こと

本当に自分のキャラクターが好きで、自分の描いた絵がお気に入りで…という状況なら、きっと自分の作品を見返すのはとても楽しいことなんじゃないかと思います。そしてそれこそ僕が思うこれからの漫画家の理想の姿です。

「自分が好きなんだから愛しているんだからこれが誰かに届くだけでHAPPY!」ほんとはこれでいいはずなんですけどね。

線の一本一本から、うまく描けてないな…という思いがあるうちはそれが難しいと思います。作品を見返すのが辛い人は、自分に厳しい人なのかもしれません。

最初のご相談文にあった
「お酒など飲んで勇気を振り絞って毎回(チェックに)挑んでいます。」
ということ…

お酒を飲んで…というのも、できてない自分を責める痛みをごまかすためにというのは、あまりに辛い話です。次は「よくやったじゃないか…」と、自分を褒めつつ見返してみるのはどうでしょうか。

「未熟な自分を赦す…」という発想が、楽しく描いていく上で大事なのかもしれませんね。自戒を込めて、今回のまとめにしたいと思います。

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