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漫画の描き方|漫画家の夢を諦めるべきか(解答編) #014

前回からの続きです。切実なお悩みへの解答です。

▼漫画家の夢を諦めるべきか(質問編)
https://note.com/nametank/n/n0fb0c0bf1f5c

悩みの本質がどこにあり、何を望んでいるのか

漫画家の夢を諦めた方がいいか。
自分の生きる道、もちろん最後は自分で決めることですので、僕はそこを考えていくための、お手伝いをさせてもらいたいと思います。

質問文の中に「あの作品はこんなに栄華を極めている一方で、自分の作品は世に出ることすらない」という言葉がありました。

まずは「売れている作品と自分を比べてしまう」この気持ちが一体どこから来ているのか、ここから考えたいです。自分がいったい何を真に望んでいるのか。それが分からないと進むべき道も見えてこないと思うので。

自分が救われる瞬間を想像する

自分を知っていくために、まずは「自分がどんな状況になれば、心から満足し『よかった…』と思えるか。」を想像してみてもらいたいです。

たとえば仮に

単行本が1万部くらい出て、ほんとうにギリギリで苦しいけれど漫画家として生活できる。売れっ子とは言えない漫画家で、でも濃いファンの人は喜んでくれている。なにより自分の原稿はすごく好きで、描いててとても楽しい。

この状況に自分がなったとして、満足できるでしょうか。栄華とは程遠い状況ですが充実していそうです。

またこちらはどうでしょうか。

単行本が10万本出て、看板とは言わないものの掲載雑誌の中間くらいのポジションにいる。ただ描いてて楽しくはない。売れるために割り切って仕事として描いている。作品のファンはとても多い。

これくらいに認められたほうが安心感や満足感があるでしょうか。

3つの中から自分の求めるものを選ぶとしたら

もうひとつ条件を加えてみます。

ミリオンセラーの売れっ子作家で誰もがその名を知っている。みんなが羨望の眼差しで見る存在である。しかし原稿へのプレッシャーも凄まじく、毎回もう描けないかもしれない、と不安に震えながら原稿に向かっている。

この3つの条件ならどれを選ぶでしょうか。

A 自分の漫画は売れてない。でも描くのはめっちゃ楽しくノリノリである。
B そこそこ売れている。描いてて辛いほどでもないが楽しくもない。
C かなり売れていてみんなが羨む存在。でも描くのはとてもしんどい。

あなたならABCどれを選びますか? この質問で分かることは、自分の原稿に自信を持って好きになりたいのか、それとも多くの人に承認されたいのか、です。

絵に描いた栄華は、それはきっと誰でもほしいものです。宝くじ3億円を誰でも欲しいと思うのと同じです。でもその3億円の裏に得られないものがあったとき、人は初めて真に望んでいるものが何か分かるのだと思います。

2つの欲求の均衡から抜け出す

お悩みの文章を読んで僕が感じたのは「劣等感など次々湧いてくる不安を消しさり作品に集中したい」という欲求と「いますぐ評価を得て認められたい」という2つの欲求です。

これは相反する2つの欲求なので、両方一度に得ようとするとフリーズしてしまいます。なぜなら「原稿に集中する」ための最短アプローチと「評価を得る」ための最短アプローチが違うからです。

右の道へ行くべきか左の道を行くべきか分からないからパニックになって一歩も動けない状況になっていると感じます。まずは自分がどちらを真に望んでいるのか知ることではないでしょうか。

仮に先の質問でAを選んだ人は、またさらに選択肢を増やして、「もっと作品を見てくれる人が少なく、フォロワー50人」だったらどうでしょうか。あまり見てもらえず、お金にもなりませんが、それでも自分は原稿に集中でき最高に楽しい気持ちで描くことができます。

そう考えたときに、それでもいいと言うなら「楽しく漫画が描けること」を大事に思っているはずです。それなら「楽しく原稿に集中する」ことを最優先に、それができるようになる道を選んでいくのが良いと思います。

しかし楽しいだけじゃ困る。せめてお金になってくれなくては困る…というなら「自分の作品でお金を生む」ことが大事なのかもしれません。

それならそのために最短の手段を取っていくのが良いと思います。たとえば広告漫画を受注してみることだってできます。自分の原稿がお金に変わって、それで生活が成り立つようになれば、喜びや自信に変わるかもしれません。

ただ評価を得たいなら漫画家以外の道もありうる

先の質問でBかCを選んで、作品制作よりも売れることや評価が欲しかった場合は、たとえば「取り組むものが漫画以外にイラストや小説でもいいのか」を考えてみてほしいです。

評価が得られ、食べるのに困らないのであれば、イラストレーターでもいい!というのであれば、選択肢は多様になると思います。漫画で一山当てようとしなくても、選べる選択肢の中でもっとも成功確率の高いものに賭けるか、もっとも当たりやすい手を探し続けるのが良策と思います。

わざわざライバルが多く、自分の中で成功確率が低いと分かっているものに固執する必要はないと思います。たとえばしっかりと文章が書ける能力を活かしライターをやってみるとか、なにか他に注目を集めるようなアイデアを考えるのも悪くないと思います。

真に望むものは何か、で答えは変わる。

なにが自分にとって譲れないのかを考えていったときに「どうしても物語を作りたい…!」という欲求があるなら、僕は漫画家を勧めます。

「評価が得られるなら漫画でなくてもいい…!」というなら、無理に漫画家を勧めません。なんだかとても当たり前のことを言ってますね。

でもそういうことなんだと思います。「真に何を望んでいるか」が分からないからこそ、進むべき道が見えてこない。これはネーム作りとまったく一緒です。主人公が望むものが見えてこないとストーリーは動き出しません。

仮の選択肢をどんどん増やして真に望むものを見つけてほしいです。もしかしたら真の望みは…実は地位でも名声でもなく、ただ「家族に自分を認めさせたかった…家族に認められるならなんでもよかった。」みたいな結論だってあると思います。

それならば家族に認めさせるための最短ルートを行くべきだと思います。

悩みの答えは望みが分かれば出る。と僕は思っています。
そしてそれが見つかれば進むべき道もおのずと見えてくるはずです。

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