漫画の描き方|漫画家を目指せるのは何歳まで? #004
漫画家になるのに、若い人じゃないとだめなんじゃないか?という不安はとてもよく聞きます。たしかに大昔は雑誌の枠が決まっていて、椅子取りゲーム状態でした。その時は伸び代のある若い人を優先することもあったかもしれません。
しかしインターネットが普及して20年。今の常識はだいぶ変わりました。2020年、この現在に僕が感じている最新の年齢事情についてお話ししますね。
漫画家の境がとても曖昧に
まずそもそもTwitterなどのSNSにマンガを載せて多くの人に簡単に読んでもらうことができるようになった今、漫画家へのルートは編集部に持ち込む以外にもたくさんあります。
普段はバイトやお仕事をしながらマンガを描いてSNSに載せて、その作品が人気になり出版社から声がかかって本になる。という話もよく聞きます。
さてこのパターンで、どこで年齢がチェックされるでしょうか。編集者が作者に声をかけたあと、年齢を聞いて「あ、その年齢なら今回の話はなしで…」とか言い出したら失礼極まりないですよね。
この時代、SNSにマンガを載せて名乗ってしまえば漫画家です。やや危険なのは年齢よりも、編集者に認められ原稿料を貰わなければ漫画家ではない、という古い価値観のほうだと思います。
マンガを読む層も同じように年を重ねて行く
毎年一歳ずつ年齢が上がっていき焦ってしまう。気持ちは分かるのですが、実は読み手も同じように年を重ねていきます。マンガを読む人はみんな、フレッシュな若い漫画家の作品を求めているのでしょうか。
いまマンガはとても多様なものになっています。縦読みのフルカラー、ウェブトゥーンというものも若い人たちに人気です。YouTubeでマンガ体験をしている人も多いです。みなさんの周りにウェブトゥーンやYouTubeマンガを読んでいる方はいるでしょうか。
もちろん読んでる、という人も、なにそれ、という人もいるのではないかと思います。みんなそれぞれ好むマンガが違うんですね。
そしてあなたが急に新しいタイプのマンガに飛びつかないのと同じように、あなたの世代の読み手もその感覚を持っているはずです。親しんできたマンガの形が一番なのではないでしょうか。
そう考えると、同じマンガの形を好きな、同世代に向けて描いていくのだ、という意識があれば、需要と供給は満たされ続けます。いまマンガを読む人が、そろそろ年だし読むのやめるわ、ということはそうないですからね。
マンガは重ねてきた人生経験が活きる
先にも書きましたが、読者は若い漫画家の作品だけが読みたいわけではありません。16歳の新鋭漫画家の作品と、50歳の人生を重ねてきた漫画家の作品とどちらが大きく心を動かせるのか。
マンガは感情の体験です。深い失望や挫折、喜びや感動を経て滲んでくる感情が描けるのは後者なのではないでしょうか。もちろん16歳だけが描けるものもあると思います。しかし漫画において、人生経験はなにより強いです。
スポーツと違って、漫画家には肉体的な制限が、ないとは言わないですが少ないです。若い新人の漫画家に、勢いやノリで勝負するのではなく、しっかりと培ってきた感情体験で勝負する。
ベテラン漫画家に言葉にならないような深い感情を描かれてしまったら、若い新人漫画家は太刀打ちできません。しかしそのためには何が強みなのか、ということを忘れないようにしたいですね。
年齢に苦言をする編集者は終わっている
まず漫画家を作品で評価せず、年齢を指摘する編集者がいるならば、もう考え方として終わっています。まず年齢って…個人情報ですしね。そこを指摘するのは社会人としてだいぶデリカシーに欠ける行為なのでは…
仮に作品に大きく足りないものがあったとしてもです。そうだとしても作品に対する指摘をすればいいはずで、そこに年齢は関係ありません。マンガが身近になったこの時代、何歳でマンガを描いていようがその人の人生です。こちらの生き方に干渉される言われはありません。
いまはどこの出版社も漫画家を集めるのにとても苦労しています。逆に漫画家からすれば、組む編集者を選べる時代になりました。
年齢で難色を示す人と、その後も気持ちよくお仕事できるでしょうか。年齢の話はむしろ編集者を見極めるいい判断材料になると思います。
様々な理由から一生目指してOK
あなたが苦しくない限り、漫画家を目指し続けて大丈夫です。ただし、いま漫画家になる方法はたくさんあります。漫画家になっていく過程すら生き方として楽しんでいる、という方が今っぽい取り組み方だと思います。
ぜひ楽しく漫画家への道を歩んで欲しいです。
動画でもお話ししています。
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