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漫画の描き方|ジャンルが合わない漫画アプリで、自分が描くメリット #018

前回雑誌のカラーに大きく外れた作品で挑戦するのは無茶な恋に近いという話をしました。今回もすこしそれに近い話です。

具体的には、ある漫画アプリの編集部で担当編集がついているが、ずっとジャンプで育ってきたのでジャンプっぽい作品が好きだし描きたいと思っている。いまのアプリはデスゲームなどもう少し大人な作品が多いので、ここでやっていくか別の場所に行くか迷ってしまう。そんな声が届きました。

「デスゲームばかりではなく新しい作風を入れたい」 という事はだいぶ前から言われているのですが、実際漫画家にとっては厳しくないでしょうか。例えばTwitterとかから自力で読者を引っ張ってこれるならいいかもですが、元々殺伐系を求める読者が多いアプリだと・・・

その場所におけるある程度の異質さ、ここではジャンプらしい王道少年っぽさ、というのは作者の持ち味になると思います。相談者の方もそれは分かっていて、本来はそれで勝負するべきかもしれないけれど、それならその作風を求められる場所で描いた方がいいんじゃないか、と思ってしまう。

今回は悩みがバッティングしているというよりはループしている状況だと感じます。

この場所で自分の作風を活かして描こう→
自分の作風が活かせる場所の方がいいんじゃないか

という無限ループです。

ちょっと気になるのが、根底の部分に「作風は受け入れてもらうもの」という考えがありそうです。ここは少し誤解があるように感じます。

作品は需要から作るわけではない

「お客さんがいるからそこに商品を提供していく、ということではない」ということはまず確認しておきたいと思います。そうではなくて「魅力のある商品を作るから、そこにお客さんが集まってくる」という形をきっと編集部は求めています。

ビジネスを考えると、需要から作っていくのは一見理にかなっていると思うのですが、そうするとそこにある需要から広がらないんですよね。新興のアプリならなおさら、既存の大手雑誌やアプリからお客を奪いたいと思っているはずです。

そのときにすで獲得した読者に向けて作品を提供していくのではなく、まだ掴めていない客層に向けて、その新しいお客さんに届くような作品作りをしていきたいと考えるのではないでしょうか。

もう一点、そのアプリで漫画を読んでいるからといって、読者も一様ではありません。さまざまな好みを持った個人の集まりです。このアプリにはデスゲーム好きが多いからデスゲームを描けば受け入れられる、ということはきっとありません。

むしろデスゲームに対してとても厳しい評価眼を持っているはずです。だからこそ半端な作品は描けません。自分を活かした作品でなければ勝負にならないと思います。

「読者を引っ張って来れればいいけど漫画家には厳しい…」とありますが、そもそも読者を引っ張ってこようという気概のない作品を、読者に提供するのは、いい結果につながらない予感がします。

ということはきっと分かっているはず

しかし質問者の方も分かっていないわけではなくて、それでもぐるぐると悩んでしまうのだと思います。その原因はシンプルに「今いる場所を好きになれていない」ということではないでしょうか。

憧れの雑誌があって、どうしてもそこに挑戦したい自分がいる。そういう状況では、いまこれをやってていいんだろうか、という疑問や悩みがいつまでも湧き続けると思います。理屈では分かっていても、感情が納得しなければきっと解決しません。

答えは二つで「心の底から納得して今いる場所を好きになる」か「新しい場所に挑戦する」かです。

ご質問の内容は、どこかで「今いる場所を嫌いになる理由」を探しているように感じます。ここではだめなんだ、という確信を得て、新しい挑戦をしたい、という願いが心の奥底にありそうです。

「ジャンルが合わないアプリで、自分が描くメリット」

これを知ることができたら、このアプリで描くことに納得し好きになれる。ということだと思います。しかし「挑戦がしたい」という思いがある以上、どんな答えを得ても、今いる場所に集中できないのではないでしょうか。

だったらもう、挑戦しましょう!

恋に近いですが恋ではありません。個人事業主である漫画家に取引先が複数あるのは普通のことです。今の編集者に言うか言わないかなど、状況によって考えることもありますが、咎められることは一つもないです。

強く自分の信じた道を行くことが、何よりの近道だと思います。

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