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漫画の描き方|描きたいものがうまく描けない問題 #016

描きたいものと描けるものが違う…という悩みはよく聞くものです。ただその原因というのは人によって様々で、いったいどのレベルで描けないと言っているのか、それによって解答も異なってきます。

今回は具体的な一つの例に沿ってお答えしたいと思います。こんなご質問をいただきました。

ストーリー漫画のプロットを考えるのが楽しいのでストーリー漫画を書くのに挑戦するのですが、ネームがなかなかうまく進みません。なんとかして書き上げたネームを友達に見てもらったりするのですが、いつも褒められるのはギャグパートの部分で…
しかも実際ギャグ漫画を描き始めると驚くほどスラスラネームが終わりますし友達に見せた時の反応も良いです。

ストーリー漫画のプロットを感がるのが楽しい、というのはとても素晴らしいことです。この楽しさを失わないうちに解決してしまいたいですね。

逆になぜギャグが評価されるのかということから、現状ストーリー漫画に足りてないものを考えていきたいと思います。

ギャグ漫画は性質的に「排出型」の傾向を持ちやすい

まずそもそも漫画を描きたいと思う気持ち、創作のエネルギーには二種類あります。一つは作者が求めているものが「こんな二人最高に萌えるな」とか「こんな状況最高にグッとくるな」とか、自分の外に欲求がある「萌え型」です。

もう一つは「辛い経験から救われたい」「心のモヤモヤをなんとかしたい」というように自分の心をすっきりさせてたい「排出型」の欲求による作品作りです。

漫画によってどちらのエネルギータイプで描いているかが変わってきます。どちらかの傾向に強く偏ることは問題ないのですが、評価される作品はこれがどちらもある程度は入ることが大事になります。

さてギャグとは何かと考えた時に「不条理」と捉えると分かりやすいのではないでしょうか。ギャグには必然的に「受け入れ難さ」があると思います。読者が自然にすんなり受け入れられたらギャグにならないんでやんす。

いま急に語尾を変えたのは、読者のあなたがそこに違和感を感じたからこそギャグになるだっちゃ。そしてそれをこのように強引に読者に押し付けていく、これがギャグの大元にある仕組みぽょ。

自分の中に思いついてしまった不条理を読者に押してつけいく。これは「排出型」の作りです。ギャグ漫画は基本的に「排出型」の傾向を持ちます。

ストーリー漫画が上手くいかない理由の推測

さてここからはストーリー漫画に時間がかかり、評価も得られない、という理由の推測です。本来はネームを見せてもらい、ヒアリングをするものですが、この状況でよく起きがちなパターンを考えてみます。

▼パターン1:ストーリー漫画は「萌え型」で作っている場合
ストーリー漫画のプロットを考えるのが楽しい、ということは、キャラクターの性格や関係性、状況を考えて、こんな感じだったらグッとくるな!みたいに、あくまで他者を眺める視点で楽しく作れているかもしれません。

つまりこれは「萌え型」の創作エネルギーで作っている状況ですね。これは全然悪くありません。しかしそもそも作者が「排出型」の創作傾向を持っている場合に、物語の中盤後半でその排出傾向が邪魔をし出すことがあります。

そろそろ物語を盛り上げて、すっきりするクライマックスを作らなきゃ、と思い始めると、自分の心の中にあるモヤモヤをキャラクターに重ね出してしまうんですね。そうするとさっきまでは「他者」として萌えて描いてキャラクターに急に「自分」を投影し始めてしまいます。

これはほとんどの場合うまくいきません。だって洗脳に近いですよね。せっかく生き生きしていたキャラクターを強引に作者の都合で動かすことになります。

「萌え型」で最初っから作るなら、ストーリー中盤後半も、こんなキャラがこんなことしてくれたら最高に素敵だな、グッとくるな、というあくまで他者として心掴まれる展開を選んでいく必要があります。

▼パターン2:「排出型」で作っているものの読者の気持ちを掴めていない
ストーリー漫画の主人公をもともと作者の成分を多めにいれて、いわゆる自分を重ねてかく描き方をしている場合。そうであれば「排出型」のエネルギーによってストーリーを作ることになります。

ギャグ漫画ならばそこに読者を楽しませる、という発想が入ってきてバランスがとれるのですが、「排出型」でストーリー漫画を作ると、読者を置いてきぼりにしてしまう、という状況が起こってしまうことがあります。

主人公が苦しい状況に陥っていて、作者はこの主人公に自分を重ねているのでその状況に興味を持てるのですが、読者からすると結局は「人ごと」で、そこまで関心を持てなかったりします。

その状況を防ぐためにはまず主人公の抱えている想いをしっかり描いて読者まで届ける、というのが大前提です。きっとなにか「追い求める渇望」「救われたい想い」が主人公からは滲むはずです。それを読者が感じ取ることができないと、読者は置いていかれてる感覚を持ってしまいます。

自然とできているのは自然と物語構造が揃っていること

ギャグ漫画なら自然とできて評価もされる、というのはどういう状況かというと、読者が楽しめるエンターテイメント作品として必要な構造と要素が自然に揃っている、ということだと思います。

一方でストーリー漫画を描いてみると、そこにまだ足りないピースがある。

このときにどう考えるかは人それぞれだと思います。ストーリー漫画でもちゃんと読者の気持ちを掴みながら、悩まず早く作れるように「漫画の構造」を学ぶ。もしくは自然にできているギャグ漫画を描いていく。

楽しく描くのが一番ですので、これはどちらでもと思います。どちらが自分にとって楽しい漫画人生になりそうか、大事なことなのでしっかり考えて決めてみてほしいです。

▼物語の仕組みを知る「ネームできる講座」
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