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漫画の描き方|目線キャラとヒーローの描き方 #25

漫画では「目線キャラ」というものが用意されている場合もあること、お気づきの人も多いのではないかと思います。

ドラゴンボールでいうとクリリンの立ち位置とか、マサルさんでいうとフーミン、冴羽獠で言えば香とかそのときどきの依頼者とか…

そんな感じで主人公を眺める役としての「目線キャラ」が昔の作品には多かったと思います。これはヒーロー(主人公)の描き方として「何を考えているんだろう」という興味を持たせる描き方の作品が多かったからですね。

思考が分かりにくいキャラクターしか登場しないと、読者との距離が遠く感じてしまいます。(もちろんそういう作品もあります)
より身近に感じてもらうために、読者に近い目線を持ったり、代弁するキャラクターが必要なのだと思います。

目線キャラが最近少なく感じる理由は、そのヒーロー(主人公)の気持ちをしっかり描いて、等身大のヒーロー目線で語る作品が多くなっているからですね。

ヒーロー(主人公)の心の声を書いてもいいのか

今回いだたいた質問は「最後にヒーローの考えていたことが分かるような構成のストーリーの場合に、中盤以降からヒーロー(主人公)の心の声を描くことが問題ないか?」という疑問です。

こちらにお答えする前に、何を持って主人公とするのか、ということを改めてはっきりさせておきたいです。

まず、人によっては読者に近い感情を持っているキャラクターこそ、主人公だとする人もいます。たとえば、クリリンやフーミン、香こそ主人公だと。
主人公を誰と捉えるかは人にもよるので、これはしっかり定義づけをしておかないと、打ち合わせなどでも混乱の原因になります。

東京ネームタンクでは「クライマックスで最後に描いていく感情が誰を通したものか」物語の一番読者に訴えるところで、誰の感情を見せていくのか、その見せるべき感情を持っているキャラクターを主人公としています。

悟空も冴羽獠も、敵に打ち勝ち、最後になんとも言えないヒーローの背負う感情を読者に伝えてきますよね。だとするとやはり彼らを主人公とするというのでどうでしょうか。

ヒーロータイプの作品は途中で「目線キャラ」の退場可

あくまで「目線キャラ」は「目線キャラ」。本来最後に描いていくのはヒーロー(主人公)の感情なので、目線キャラは途中で退場しても問題ありません。

フリーザの戦いでクリリンは死んでしまいましたし、冴羽獠も敵地に乗り込んでいくときにはたいてい一人です。

さあそこで今回のご質問ですね。ここで一人になったヒーロー(主人公)がばりばり心の声を話始めていいのか。これは結論から言うとまったく問題ないのですが、何点か押さえたいポイントがあります。

ヒーロー形の作品は主人公に対し「どんな気持ちなの?」と興味を持たせることが大事です。そうするとここで一人になった主人公が感情をあらわにしすぎると、「そういう気持ちなのね」と読者が満足しすぎてしまいます。

ですのでクライマックスぎりぎりまでは感情をあまりあらわにしないこと。そして実は「心の声」というのはそのままイコール「感情」ではありません。感情に繋がりにくい「心の声」は多用してもさほど気にならないと思います。

例えば敵地に潜入したヒーローが
「よし…誰もいないな…」
と心の声で呟いたとして、不安なのか興奮なのかその感情が現れたセリフではないので、自然に読めてしまうと思います。

ただこの心の声が
「うっひゃ〜怖えええドキドキするう!」
というものだと感情が伝わりすぎると思います。しかしこのセリフでもとても「シリアスな顔で」言ってるなら、本当の感情が掴みにくくなるので読めると思います。

さらに表情も分かりやすく慌てながら
「うっひゃ〜怖えええドキドキするう!」
とするなら、これはもうヒーロー形の描き方ではなく、読者と共感させていく描き方ですね。これをやるなら序盤から主人公を目線とする漫画として描いていく方が自然だと思います。

あくまで感情の伝え方だと理解する

クライマックスで主人公の感情をどう表現していくか。これはここまで興味を引いて、最後分かりやすく「こんな気持ちだったんだ」というのを強く共感させるのもいいですし、最後まで渋く「こんな気持ちなのかな…」と想像させるのも素敵だと思います。

主人公が持つ感情をいかに効果的に読者に響かせるか。そのために「目線のキャラ」や「モノローグ」(心の声)は使っていくのだ、ということを意識してもらうと分かりやすいと思います。

ヒーローは「何を考えているんだろう」と読者に興味を持たせる、そのことを引き立てるためのツールとして、恐れず自由に使ってみてほしいと思います!

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