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漫画の描き方|描きたい気持ちはあるが、気力や集中力が続かない #019

今回は個人サイトで長編漫画を5年間更新し続けていたのに、最近はその気力が湧いてこないという方からのお悩みです。一部抜粋してご紹介いたします。

私は現在、働きながら趣味で長編漫画を描き、個人サイトで公開して丸5年なのですが、近頃2ヶ月ほど漫画を描く気力、全くやる気が湧きません。このままのペースでは本編がいつ描き終わるかわからないので、描きたいという焦りはあるのですが、パソコンを開いてみても、まるで集中力が続きません。
どうしたらいいでしょうか?
いつもはしばらく離れて休憩すると描きたくなるものなのですが、ここまでやる気の復活しないのは初めてで、戸惑っております。
以前Twitterでいいねを100以上頂いた事があったのですが、その日のサイト訪問者数が0だったのをきっかけに、燃え尽き症候群のようなものかなと思っていたのですが、続きを描きたいという気持ちはあるので、よくわかりません。

年齢も30歳なのでもう潮時なのか…と書かれていましたが、それはまったくそんなことありません。60歳を超えた漫画家先生がバリバリ描かれていますので、30で潮時と言っていたら怒られてしまいそうです。

描きたい気持ちが義務感にならないように

5年間も自主連載できたのなら、きっとその作品には、キャラクターにも世界にもとても愛があったんじゃないかと思います。とくに描き始めた当初はその世界のことを考えるのがとても好きで、四六時中その世界に没頭していたのではないでしょうか。

漫画を描いていくというのは、頭の中にある想像をアウトプットしていく、とても時間のかかる作業です。ワンピースの尾田先生ももう20年以上もルフィの冒険を描いていますが、ご本人も言っているように、連載しながら続きを考えているわけではなく、連載開始のときに構想したストーリーを描くのにこれだけの時間がかかっている、ということです。

連載作家はみんな同じようなことを言われますね。5年前、10年前に想像したことを描き続ける、そのエネルギーとモチベーションが必要になります。

そのためにはいかにその世界を、キャラクターを、好きでいられるか、ということに尽きると思います。

好きで好きで描きたくて仕方ない、という「描きたい」と、せっかく生み出したキャラクターたちに申し訳ないから話を最後まで描かなくてはならない…という義務感からの「描きたい」は別のものだと思います。

前者をもう一度取り戻すにはどうしたらいいでしょうか。

終わりが見えないことがモチベを下げてしまう一因なら

これまで最高のクライマックスのために様々な伏線を入れてきたのではないかと思います。しかしそうやって話がどんどん広がっていくと、いつ終わるんだこれは…という描き切るためのエネルギー不足を感じ始めると思います。

すべての事象は拡散していくという「エントロピー増大の法則」に感じる虚無感に近いものがありますね。広がり続けることで、そこにあるエネルギーも薄まっていってしまうのだと思います。

しかしそうならば一案として、この辺りで「収縮に転じる」のはどうでしょうか。広げるエネルギーが尽きたということは、そろそろ閉じていくべきタイミングが来たということかもしれません。

これまで散りばめていた全ての伏線を次々に回収して行く。それは気持ちの良い作業だと思います。膨らんだ物語が一点に収束していく。そうするとエネルギーが濃くなっていき、作者のモチベーション的にも、物語の盛り上がり的にも、とても熱いものになるはずです。

新井一先生「よせ玉理論」を使ってみる

シナリオの基礎技術」の著者、新井一先生はクライマックスに「よせ玉」が効果的だと説いていました。ビリヤードの玉のように、クライマックスでは散らばっていたキャラクターがどんどん一箇所に集結していく、ということです。

たしかにクライマックスで、これまで登場させたキャラクターをできるだけ近づけると、そこで濃い熱いやりとりが生まれると思います。場所的に遠くても心理的に近づけることもありそうです。

キャラクターが近づくとお互いすっきり納得、みたいなことも難しくなっていきます。譲れないもの同士がぶつかりあうと思います。そしてそれを乗り越えるのがクライマックスというものです。終結にどんな展開が必要か。考えているうちにまた楽しさが戻ってくるのではないかと思います。

世界の維持は神様でも辛い

5年前にストーリーが芽吹いていくときはとても楽しかったのではないかと思います。でも、どんなものにも終わりはきます。

好きだからこそ終わらせたくない。その世界を維持したい気持ちもあったかもしれません。しかしそこには実はとてもエネルギーが必要で、作者が知らないうちにエンプティになってしまうのもよく分かります。

収縮のエネルギーによって、また再度膨張させることも可能です。物語を意図的に広げたり縮めたり、という意識を持ってみるのはどうでしょうか。

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