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漫画家になるには|そこに「万感」はあるか?クライマックスの作り方 #009

こんにちは!東京ネームタンクのごとうです。マンガスクリプトドクターとして活動していたり、最近はやさしさ創作村の村長もやっています。

そう、いつもマンガの作り方の気をつけるポイントをお話ししていますが、もっとも基礎となる部分「ネームできる講座」動画版のアップデート版の配布が始まりました!

2種類の創作タイプについての解説が含まれます。最新の気づきもアップデートしていきますので、まずは動画講座で大元の基礎を理解してもらえると、note記事の効果は10倍になると思います。おすすめです!

人を感動させるクライマックスの作り方

もう1つ僕は東京ネームタンクの講座を応用して「コルクラボマンガ専科」というところでも講義をさせてもらってます。僕の受け持ちは全4回なのですが、先日その最終日を終えました。

最終回にお話しした内容は「感動の仕組み」について。

みなさんも人生において、ジーンと深い感動を何度か体験したことがあると思います。その感動は、いったい何から引き起こされるのか。感動を引き起こす「条件」や「共通項」はあるのか。

それが分かってしまえば、クライマックスに意図的に感動体験を入れることができるはずです。そこでネームタンクでは過去5年間、ひたすらさまざまな感動を集め、分析研究してきました。

最初まったく見えてこなかった共通点ですが、5年整理を続けると収束するものですね。今では感動は3種に分類できることが分かっています。ここでは紹介しきれないので、申し訳ないですがそれは講座で。

今日は1つの方法論をお伝えします。感動の作り方の部分です。

「プルチックの感情の輪」を応用する

プルチックの感情の輪、をご存知でしょうか。
人間の感情を色相環のように分類したものですね。人間にはこんな感情があるみたい。

プルチックの輪

こちらはWikipedia「感情の一覧」からの引用ですが、もう少し分かりやすい画像が見つかると思いますので探してみてください。

僕はこの環については、ある疑問点も見つけていて、その話はまた今度に。いまは、いろんな感情があるよね、くらいのことだと思ってもらいたいです。

プルチックの輪は大元の感情を整理したもので、派生の感情は言葉の数だけありますよね。wikiの「感情」には漢字で表す感情も書かれていて面白いです。

部首が「心」で感情を表す漢字
忌 (いむ) ・忍 (しのぶ) ・怒 (いかる) ・恐 (おそれる) ・恥 (はじらう) ・恋 (こい) ・悲 (かなしい) ・愁 (うれえる) ・慕 (したう) ・憂 (うれえる) ・怪 (あやしむ) ・怖 (こわい) ・悔 (くやむ) ・恨 (うらむ) ・惜 (おしむ) ・悼 (いたむ) ・愉 (たのしむ) ・憎 (にくむ) ・憤 (いきどおる) ・懐 (なつかしむ) 等々。 <wikipedia「感情」より>

クライマックスには「溢れ出す想い」がある

物語のクライマックスには、強い感情が、なんとも言えない、心の器から溢れてしまいそうな情動、心の動きがありますよね。それが「感動」というものだと思います。

その感動はなんとも言えない「万感」というものに近いのではないでしょうか。つまりプルチックの輪でいう「怒り」や「喜び」などシンプルな1つの言葉として説明できるものではなく、もっと幾重に重なった厚みのある感情です。

そこで最終回のマンガ専科ワークショップでは、プルチックの感情の輪から「1感情=1カード」にバラした「感情カード」を作り、そこからランダムに2枚引いて、2種の感情を入れたクライマックスを考えてもらいました。

スクリーンショット 2020-02-29 9.23.59

厚みのある感情を、実際に感情を重ねて作ってしまおう、ということです。

たとえばランダムに2枚引くと「恍惚」と「恐怖」というように、近いものから遠いものまでさまざまな組み合わせができます。その2つの感情を同時に入れた「ももたろうのクライマックス」を考えてみました。

ももたろうが急にドラマチックに…!

「恍惚」と「恐怖」をももたろうに入れるとどうなるでしょうか。

鬼ヶ島に辿り着き、復讐に取り憑かれたももたろうは殺意のままに鬼を皆殺しにしていく。その中で自分の心の内に芽生え始める「恍惚」の感情。これでは鬼と変わらない…しかしもう止めることはできない。その自分に「恐怖」さえ感じながらも、また一匹鬼の首を刈るのであった。

どうでしょうか。いい感情の入ったクライマックスになりそうですよね。

また僕が講義中に試しに引いたカードは「うんざり」と「悲嘆」でした。

鬼の数は多く、ひたすら殺戮の日々。もう「うんざり」だが…鬼は相入れぬ存在、根絶やしにするまで止まることはできない。なぜ分かり合うことができないのか…お互いに殺したくないのに殺し合う。終わりの見えない争い、鬼の死体が転がる中で深く「悲嘆」する。

こちらも読み応えのあるクライマックスになりそうです。

マンガはそもそも感情体験が目的

クライマックスで描きたい感情が見つかると、そこに導くように、ストーリーも調整できると思います。感情のためにストーリーを用意する。

マンガはそもそも主人公の感情を読者にも体験させるのが目的です。ですから今回の取り組みのように「感情」をまず作り、そのために「できごと」を用意していくのは物語の基本を感じ取る上でも有効だと思います。

ぜひみなさんも「プルチックの輪」からランダムに2つの感情を選んで、ももたろうのクライマックスを考えてみてくださいね。

また、自分の作品にも応用できるはずです。自分の作っているクライマックスに感情の厚みはあるか。そこに「万感」はあるか。たしかめてみてください。

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