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漫画の描き方|自分の強み(方向性)の見つけ方 #003

商業の場でデビューや連載を目指していくなら、そこで戦い、結果を出していくための「武器」が必要になると思います。

いま名だたる漫画家たちは、それぞれに強い武器を持っています。
絵の見せ方だったり、セリフの巧みさ、間の取り方、みんなそれぞれに自分のマンガだけの特徴があり、それは作風、作家性と言われるものでもありますね。

プロとしてそこに自分の作品を同列に並べていくのなら、やはり戦う武器が欲しい。他の漫画家たちが強い武器で戦っている中、自分だけ素手で立ち向かうのはあまりに無謀だからです。

武器(強み)は大きくわけて2つある

武器は強み、魅力やウリと言ってもいいのかもしれません。それは大きく分けて2種類あると思います。作品単位での強みと、漫画家としての強みです。

例えば「名探偵コナン」であれば「子供の姿で大人を出し抜く推理」は強い武器の一つだと思います。しかし作者の青山剛昌先生の強みといったときに、「推理を描く力」なのかと言えば、もちろんそれもあるとは思いますが、それだけではないはずです。

漫画家としての武器は、どんな作品を描いても共通して現れる、その人が読者を楽しませる技術、です。

これが剣技ならば、斬撃が得意な人もいれば、カウンターが得意な人、防御が巧みで一瞬の隙を突く人、それぞれに得意なスタイルがあるはずです。それと同様に、漫画にもいろいろな技術があります。

あなたが読者に向けてどんな技を繰り出すか。得意技をどう見出し身につけるのか。

自分の武器、戦い方を見つける方法

さて戦い方はどんな作品を描いても現れるはずです。それならば原作がすでにある作品をどう描いていくか。これを考えると、あなたの武器が見えてくるかもしれません。

たとえばもし「桃太郎」を原作にして漫画を描いてください、と言われた時に、あなたならどうやって魅せていくでしょうか。

人によっては「鬼ヶ島での桃太郎の力の覚醒」をカッコよく描くかもしれませんし「仲間たちとの旅」をエモく描くかもしれません。人それぞれどこをどう魅せていくかが違うと思います。

ここにきっとあなたの戦い方のヒントがあります。「どう魅せるか」を強く意識して、考えてみてください。

「星の王子さま」を漫☆画太郎先生が描かれているのですが、こちらは漫☆画太郎先生の作風をこれでもかと感じます。ぜひ読んでみてほしいです。

戦う技術は戦う前からも

また剣技に例えるなら、実は戦う前の下調べの時点からその剣士の資質というものは見えてくることもあると思います。事前に相手の弱点を調べるのが得意だったり、戦いは剣を交える前から始まっている。

広い目で見ると、どこに注目しているか、ということも武器になるのかもしれません。僕もネームタンクでいろいろな漫画家を見ていますが、着眼点や気づく力に人と違うものを感じることは多いです。

日常生活でみんなが気づかない心遣いに気づく力、など。
でもこういうものは自分でこれが武器だと気づくのは難しいことかもしれませんね。なぜならその人の中ではなんでもない普段の視点と行動だからです。

その人の普通が、周りから見たらすごい武器、ということもよくありますね。

武器を認識できるととても楽になる

僕もアシスタント時代、アシスタント仲間たちと雑誌掲載を目指す中で、「自分だけのエクスカリバー」を見つけなくてはいけないよね、とよく話していました。戦い方を見つけたい、というのと同じ意味ですね。

僕の場合は何年も編集部に通う中で、当時の担当編集者から「ごとう君の武器は、普通なら恥ずかしく感じそうな想いを堂々と正面から伝えるところ」と言ってもらえたことがあり、そこで手にした感覚がありました。

その後意識的に使っていくことで、とても描きやすくなりました。技術、技法の話なので、こればかりは一朝一夕というわけにはいかず、作品を重ねる中で見出だし身につけるものでもあると思います。

また先ほどもお伝えしましたが、自分で気づくのはどうしても難しい部分もあると思います。たくさん感想をもらうことも、自分だけの武器探しのヒントになると思います。

東京ネームタンク「ネームできる講座」でも最後に僕が思うその人だけの武器や強みをお伝えしています。自分の武器を確かめたい人、お待ちしております。

Youtubeでもお話ししています。

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