漫画家になるには|自分の作風を「盗んで」手に入れる話 #002
「自分の作風」と言えるものを持っていますか?
プロを目指す上で、ヒット作品を見てみると、どれもその先生の個性が際立ち、作風、作家性と言ったものを強く感じると思います。
逆に言うとこの作風や作家性と言うものを手に入れられないと、今の世の中は埋もれてしまうほど漫画に溢れていますね。
あって損のない「自分の作風」
しかしそれを0から作り上げるのはとても難しいことだと思います。
本当のオリジナルなんてものは、ない
創作を始めると、このことはみんな気付くんじゃないかなと思います。人類が物語を作り始めて数万年。
もはや人類初のストーリーなどというものはなく、どこかで何かの作品の影響を受け、そのコラージュのような形で、現代のストーリーというのはできていますよね。
神話が語られた時代に、物語の形は出尽くしてしまった、というのもよく聞く話です。
自分自身の作風を作っていく上で、今ある作品を参考にするのは、避けようにも避けられないこと。ですがそれでも他の作品から目を背けようとする人は多いです。
「パクリ」と言われてしまうのではないか…という不安。
たくさんの物語から少しづつ影響を受けたらば、自分の中で混ざり合って、オリジナリティになるのは分かるけど、一つの作品から強く影響を受けると、その作品に似すぎてしまうんじゃないか、と恐れる気持ちはよく分かります。
一つの作品から強く影響を受けても問題なし
僕が感じているズレの一つに、ある作品について、「自分が気に入っている部分がその作品の特徴」と思い込んでしまう、ということがあります。
たとえばあなたが、スターウォーズ作品のライトセーバーにとても惹かれていたとして、ライトセーバーこそがスターウォーズ作品の特徴であり、ここに影響を受けたらスターウォーズの模倣と言われてしまうんじゃないか、と考えてしまうということです。
でも実は多くの人にとって、ライトセーバーはスターウォーズを構成する要素の一つでしかありません。
もしあなたが、ライトセーバー的な武器にフォーカスした、ライトセーバーを主軸に組んだ話を作り、それができたとしたら、その作品をスターウォーズのパクリだ、という人は、多くはいないと思います。
たとえばライトセーバー職人の話にしたり、ロストテクノロジーとしてのライトセーバーを描いたり、ライトセーバーと魂が融合してしまった主人公の話にしたり。
模倣に見えないのは、見せたいポイントが本家と違うからですね。
好きだと思う点が、個性(作家性)になる
ここが好きなんだ、というところを、しっかり打ち出して、その作品の主軸に据える。こうすることでむしろ模倣感がなくなります。(もちろん名称や細部は変えて…フォースに変わる言葉を見つけたいです。)
ここを妙に本家に遠慮して、作品中でのライトセーバーの扱いを軽くしてしまうと、逆にスターウォーズっぽさが増してきてしまいます。
作品というものは、作者の「これが好きなんだ」というプレゼンにも近いと思います。言い方は悪いですが、好きなところを盗んできて、しっかりアピールするのが大事だと思います。
とくにストーリー序盤からその好きな要素を入れるのがおすすめです。
そうすることで、この魅力を描く作品なのだ、ということがよく伝わり、また自分の好きなものなので最初から楽しく描けるはずです。
「好き」へのこだわりは、ぜひ本家を超えて欲しいです。そうすればいつかきっと、あなたの作風として昇華されると思います。
動画でも詳しくお話ししています。
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