震災から9年。新しい漫画描きの居場所作り。
3月11日。東日本大震災から9年が経ちますね。僕は幸運にも直接的な被害はありませんでしたが、それでも自分の人生に大きな影響がありました。もしかしたら東京ネームタンクを作っていなかったかもしれません。
震災からしばらくたったとき、ある明石焼きの店主に明石焼きの絵を依頼されたことがあったんですね。(お店の壁に大きな明石焼きを描きました。)そのときに店主、大将と呼ばれていた元気な大先輩がこんなことを言ってました。
「震災みたいな大きな事件があると、みんなが一斉にスタート地点に戻される。そういうときにズルは効かない。ズルして来たやつはしっぺ返しを食らうんだ。」
みんなそれぞれの生き方で差がついているけど、再スタートの時点では、結局誠実に積み重ねて来た人間が強い、ということです。いままたコロナウィルスにより日本がまた試されてますね。
こういうときにこれまでの積み重ねが出る。それは確かにそうなのかもしれないな、と再び大将の言葉を思い出しています。東京ネームタンクが積み重ねてきたものはなんだったのかも改めて考えています。
ずっと居場所を作ってきた
教室の講義の始まりに、僕が必ず言うことがあって「この教室は漫画描きが集まる場所にしたくて作ったので、最初はアウェイ感あるかもしれないけれどホーム感覚でくつろいで聞いてほしい。」ということです。
緊張すると良いこと何もなくて、良いアイデアが出ないですからね。そう話しているんですがもう一つ、それは僕が漫画家時代に個の弱さを痛感して来たからというのがあります。
大きな出版社に立ち向かう中で「君の代わりはたくさんいるんだよ」という状態は不利過ぎます。そしてとくにこのSNS社会、マンガを描く人はあちこち点在していて、みんな孤軍奮闘している。
描き手が集まって技術共有して力を蓄えていき、さらには集団の力で大きなものを動かしていく。泣き寝入りを許さない。そういう場所にしていきたいとずっと願ってここまで来ました。
マンガとの付き合い方が多様な時代に
東京ネームタンクを始めた2015年は「漫画描きによる漫画描きのためのマンガ制作研究組織」と謳っていましたが、その後法人化もあり、いまの標語は「ひとりひとりに代表作を。」として活動しています。
これは2015年の開始以来、漫画がどんどん身近になっていくというのを感じ続けてきたからです。SNSなど、日常に情報が溢れる中で、私たちは自分の興味ある情報だけをピックアップし、好きなものだけの中で生きていけるようになりました。
みなさんのTwitterも自分の興味ごとばかりが並んでいるのではないでしょうか。そしてそこにはみんなそれぞれのマンガとの付き合い方がある。
商業漫画家を目指す人、二次創作をする人、イベントに注力する人、ただ自分の楽しみにする人、マンガとの向き合い方は本当に多様ですし、すべてが素敵な活動だと思います。
漫画を描いていくそのことが、自己実現であり、価値ある活動なんだよな…と感じます。そこで僕がお手伝いできるのが、誰にも自分が自分で満足する「ひとりひとりの代表作」を持ってもらう、ということ。
単純にみんながみんな自慢の一作があるって、とてもいいなと思っていて、そんな世界を見たいんですよね。
新しい居場所の準備もできました
みんなが多様な活動をする中で、それぞれその活動がしやすい場所があるのではないかと思ってます。そのための居場所の準備を並行して進めてきました。
それらがちょうど今リリースタイミングとなっています。
プロの技術を追求していきたい人向けの養成所
『まんが奨励会』3/10開始
商業の漫画家を目指していく、プロレベルの技術を追求をしていく場所です。自分を高めていくことが喜びである人に向いていると思います。
創作の芽をみんなで優しく育てていく
『やさしさ創作村』2/10開始
漫画を描いていく、漫画家を目指していく、そのことをライフワークとして楽しんでいく、というのも令和時代の素敵な価値観だと思います。
漫画の知識を集めていくQ&A大図書館
『漫画家のいろは』3/9開始
漫画を描いていくといろんな疑問があると思います。それをみんなどうやって乗り越えたのか、Q&Aを集めていく。知識の場所です。
またもう一つこちらは4年目に入ってます。
『マンガ技術研究会』
「何があっても生き残るクリエイターを目指す」ことをモットーに、漫画家として食べていく、サバイバル技術を探っていく場所です。
みんなそれぞれ思想が違います。
指先1つで文化を選んでいく時代
「ファートペンギン大学」のトリイケンゴさんからオンラインサロンについて聞いたことがありました。「これからの時代はみんな自分に合った場所、属する場所を、スマートフォンで簡単に選べる時代になる。」
これも2年以上前に聞いた話でしたが、いよいよ現実のものになってきた感覚があります。情報爆発の時代に、情報の選り好みをしていくと、自然に好きな情報を密にやり取りするもの同士の距離が近づいていく。そうすると村的な場所が自然に発生していく。
東京ネームタンクが用意するもの以外も、たとえば思いつくだけで
・コルクラボマンガ専科
・スピカワークス
・アニメ私塾
・アル
・エンタメ研究所
まだまだたくさんあると思います。
それぞれの思想があって、だからこそ合う合わないがあるものだと思います。無理してここにいなくちゃ!ということではなく、自分の居心地の良い場所を見つけていく、という発想が必要になってくると思います。もちろん掛け持ちもいいんじゃないでしょうか。それもスタイルです。
東京ネームタンクのご紹介した場所もついに動き出すことができました。みなさんに選んでもらえるよう、引き続き良い居場所を作っていきますね!
▼まんが奨励会
月額 1,000円(税込)東京ネームタンク「ネームできる講座」修了者限定
▼やさしさ創作村
月額 300円(税込)クリエイター限定
▼漫画家のいろは
無料 マンガに取り組むどなたでも
▼マンガ技術研究会
月額 2,000円(税込)漫画家、志望者、編集者、漫画が好きな人
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