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漫画の描き方|自分の漫画の作風と志望雑誌が合わない #017

憧れの雑誌があってそこに載せるのが夢だった!しかしその雑誌のカラーと自分の作風が合わない…!

こういうことってあるんじゃないかと思います。悩んでしまうときというのはたいていの場合自分に二つ以上の欲求があって、それがバッティングして身動き取れなくなってしまうときだと感じます。

この場合も求めているものが実は二つあり、一つは「自分の作風を曲げてでも志望雑誌に載せたい」という想いと、もう一つは「自分の作風を尊重したい」ということではないでしょうか。

両方のバランスを取れるならいいのですが、後者の想いはなかなか曲げられないと思います。自分の作風を曲げてしまったら自分が描く意味がなくなってしまいますし、そもそも作風というものは簡単に変えられるものではないですよね。

どうしても雑誌の色に合わないことはある

たとえば幼年誌や少年誌は、分かりやすく変わらぬ価値観の良さを描きます。ワンピースなら100巻続いても「仲間の良さ」を語りますし、名探偵コナンなら「真実の良さ」を語ります。何があってもどんな経験をしてもそこが変わりません。

作家さんによってはもう少し大人の考えを持った人もいると思います。「真の友情とはなんだろうか」「真実の裏にはもう一つ真実があるのではないか」こういう多角的な目線を持ち始めてしまったら、それはもう大人の視点です。

もちろん幼年誌や少年誌を読む子どもたちに大人の思想を読ませたいのだ、という考えも分かります。でも漫画雑誌は読者のためのものですよね。読者を楽しませるために描いていくのだ、ということを忘れないようにしたいです。

僕は漫画を描く上でもっとも大事なことは、作者がしっかり楽しんで描くことだと思ってます。作者がつまらないな…と萎えた気持ちで描いているものを読者がワクワク楽しめることって、きっとありません。売れてる作品はどれも作者がノリノリで描いている感覚が伝わってきます。

それと同時に、自分が最高にいいと思って入る作品を、同じく最高にいいと楽しんでくれる読者にも提供していく。そういう状況が理想だと思います。そしてそのためにはある程度「読者を選ぶ」という必要も出てきます。

いつも通りカレーに例える

あなたが激辛カレーが大好きなカレー屋さんの店主だったとして、どうしてもその店は大人向けの店になると思います。激辛カレー好きが集まる、いいお店になるはずです。

しかしその店構えを子ども向けにして、子どもたちに激辛カレーの刺激を味わわせよう、というのなら、これは誰にとってもいいことがありません。
お客さんも嬉しくないし、喜んで食べてもらえないカレー(作品)もかわいそうです。

じゃあ子どもに合わせて甘口カレーを作るのか、と言ったら、今度はあなたが楽しめないはずです。これもまた作品を大切にしないことになりますよね。

辛口カレーを作って大人向けの店にするか。それとも子供達のために甘口カレーを極めるか。二律背反、これはどちらを選ぶか覚悟を決めるときです。

なぜその雑誌に載せたかったのか

その雑誌に載せたいという夢や憧れを持っているからには、きっとその雑誌の雰囲気やカラーがなにより好きだったからだと思います。

想像してもらいたいのは、自分の作品がその雑誌に載った時に、その好きだった雰囲気やカラーがどうなるのか。いま作風が合わなくなっていると感じるなら、掲載したところできっとその雑誌の雰囲気やカラーを損なってしまう可能性はないでしょうか。

もしも、その雑誌の魅力をよりプラスにできて、今の読者も求めてくれる、そう信じられるなら、掲載を目指すことに何も問題ありません。でもそうではなくて、求められていないなら…無理に押し付けていっても、そこにいい未来は描けないと思います。

自分の好きなものを守るために、身を引かなくてはならないこともある。なんだか恋に似てますね。

とはいえチャレンジしないと諦めつかない

とはいえ先にも書きましたが、自分が楽しく描けることが何より大事です。身を引くことで萎えて描けないくらいなら、もう一度振り向かせてやる!くらいの熱量で挑むのも悪くないと思います。

今回の話はチャレンジし尽くして、どうにもお手上げとなった人を想定して書いています。一度は気の済むまでチャレンジしないと、自分が納得できず、諦めるにも諦めつかないですからね。

雑誌は文字どうり雑多にいろいろな漫画が掲載しておかしくない懐の深さもあると思います。納得いくまでチャレンジするか、新天地を探すか。作品を大事に、考えてみてほしいです。

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