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漫画の描き方|「漫画家VS編集部」という企画やります本当に

本当にやるんですよ。11月18日、東京ネームタンクが集めた漫画家・漫画家志望の精鋭たちが集結して。相手はマンガボックス編集部です!

血で血を洗う戦いの火蓋がいま切り落とされる…!!
煽っていくスタイル!!

前回の記事は読んでいただけたでしょうか。
週刊少年ジャンプ編集者の呪文を解読してみた
この話はなにもTVの中だけの話じゃなくて、編集者との打ち合わせでひたすら打ちひしがれて帰ってくるというのは漫画家あるあるです。

しかし言われ放題言われてしまうと、実はそのあとも難しいんです。
記事の中でもありましたが「異論反論ありません」と言ってしまうと、編集者の意見をまんま反映させたものを描かないといけなくなりますよね。
しかし実際修正を始めると…むくむくと異論反論が出てきたりします。
Aという修正案を言われたけど…Aとするとこういう問題があったんだよな…と後から見えてくるみたいなことが。

そうすると「Bという修正案が頭にありつつも、打ち合わせで異論反論ないって言っちゃったしな…」みたいな、まったく無駄な悩みで脳のリソースを圧迫して、その積み重ねで行き詰まり、最悪アイデアがスムーズに出なくなったりします。

で、その積年の恨みをここで編集部にお返しするイベントです!!おらあ!!

………うそです!!

本当は「一つの作品を掲載に近づけるために、どう修正していくか」漫画家と編集者が一丸となって考えていく、公開打ち合わせのようなイベントを企画しています。

一緒に作品を考える中で、漫画家と編集部の立場による考えの差を明確にし「お互い目指すところは同じはずなんだからもっと理解しあおうよ!」という趣旨です!

◎ ◎ ◎

漫画家に必要な「打ち合わせ力」とは

そもそも打ち合わせでしっかりとしたコミュニケーションが取れていない問題があると思います。自分の作品の魅力や描きたかったことをしっかりアピールできるようになるには、かなり慣れが必要ではないでしょうか。

見習わなくては…と思った話で

編集者に「面白くない」と言われたら
「えっ?この面白さが分からないですか?」と言うようにしている。

という作家さんの話を人づてに聞いて「ほんとはこうじゃなきゃいけないんだよな…!」とたまに思い返しては戒めにしています。

しかしまあ難しいですよね。ただ、しっかりと自分のやりたかったことを主張できたら、修正の方向性が変わるなんてことはぜんぜん有り得る話です。そう考えるとただ引き下がる訳にはいきません。

編集さんの意見に対し、不明点やそれで進めた場合の懸念点をしっかり伝え、自分のやりたいこともアピールして修正案をお互いの納得するものにする…そんな「打ち合わせ力」が必要だと思います。

正論が正しい訳じゃない

そうは言っても「編集さんの意見がいつも正しくて…」というのはよく聞く話です。編集さんはより良く見せるのが仕事ですし、当然プレゼン力もあるので、話をしているといつのまにか「まったくおっしゃる通り…」と思わされちゃうんですよね。でも…

「正論」の反対は「間違い」じゃない。
「もう一つの正論。」

です。昔打ち合わせで言われたことで
「パンチラを入れた方がいい、その方が売れるから。」
というニュアンスの言葉がありました。

これってたぶん正論で、実際そうなんだと思うんです。
しかしだからと言って「パンチラを入れない」のが間違っているのかと言えばそんなことはないはず。

絶対にパンチラを入れない!という漫画家さんがいらしたと思います。(失念してしまって…どなたか教えていただけたら幸いです。)
「パンチラを入れることでヒロインが安く見える。」というのも、もう一つの正論ではないでしょうか。

正しいことを言われているからそれに従うのが正しいんだ…という考えは早計だと思います。もし仮に編集者の正論にすべて従って、やりたかったこと、描きたかったことがなくなってしまったら…漫画家としてはもうその作品を作る意味はありません。編集さんも作品ができあがらないことを望んでいるわけではないはずです。

作品ができあがるためには、作者が楽しんで描けることは何より大事なファクターです。作者が苦しんで描いてるものを読者が楽しく読めるなんてことはありません。しかし作者が楽しんでるからと言って、売れるわけではないのも事実。商業としてそれでは困ります。

ですのでお互いの意見を尊重し、落とし所を探る。話していく中で最初見えてなかった第3の答えが見つかったりすると作品はより輝くし、そういう打ち合わせってほんとに楽しいものです。理想的な打ち合わせを目指したいですね。

編集さんも試行錯誤の中にいる

マンガボックス編集部の田村さんと今回の企画について話していく中で「そうだったんだ…」と改めて気づけたのが、編集さんも試行錯誤の中にいるということ。

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マンガボックス編集部・田村さん
以前開催した「ネームを進める会@マンガボックス」レポ漫画より

特に漫画家からのアピールが弱い場合、編集者からのアイデアがどれだけ響いているのか分からず…「いいですね」と言ってくれるのが、心からそう思っているのか、話を合わせてくれているだけなのか、その判断がつかないので意見の推し具合が分からなかったりする、のだそうです。漫画家も編集も「この修正をしたほうが絶対面白いはず!」と納得して、次に進むのが理想と伺いました。

またあとから漫画家に「やっぱり進めていた修正案だとこういう問題がある」とか「こういう修正の方が面白い」と指摘され、その場では出なかったアイデアや方向性に納得することもあるということです。編集者って漫画家からするとパーフェクトな存在=「神」に見えてしまいがちですが、まだ話し合いの余地がある「人間」なのだ…と再認識したいですね。

結局のところお互いに理解がなさすぎるのが現状の問題点だと思います。まずお互いの遠慮や誤解を取り去って打ち合わせの質を上げていくのが大切ではないでしょうか。「打ち合わせ力」とは「打ち解ける力」なのかもしれないですね。

◎ ◎ ◎

まとめ

■打ち合わせには「打ち合わせ力」が必要
■正論の反対は「もう一つの正論だ」
■編集者も迷ってる!よく話して打ち合わせの質を上げよう!
「打ち合わせ力」とは「打ち解ける力」かもしれない

というわけでお知らせです!

「漫画家VS編集部 @マンガボックス」
作品を掲載に近づけるための相互ディスカッション

2018年11月18日(日)13:00〜18:00(予定)

とはいえすみません…今回のイベントは東京ネームタンクの修了者限定で参加を募集いたします。今後こういったイベントをもっといろいろな方を募ってできたらいいなと思っています。ぜひレポートをお待ちください!

事前に集めたネームやプロットから5作品を選定し、1作品45分くらいかけて編集者と漫画家で意見を出し合います。東京ネームタンクの講師も参加しますので、作品の魅力や作者のやりたかったことなどを伝えるサポートをしたり、編集者からの修正案を噛み砕いて解説し、実際にどのように反映させるかなど、具体例を提示します。

編集者と漫画家の意思疎通を最大限高め、 真に有用な打ち合わせを体感するのが目的です。

イベントを快諾してくださったマンガボックス編集部のみなさま、どうもありがとうございます!実は「漫画家VS編集部」というキャッチーなタイトルもマンガボックスさんから提案してもらったものです。「僕たちがボコボコにされる構図の方が面白いですよね…」とか言ってくれてた…分かってる!


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